2017年2月3日金曜日

「ICS軽井沢文庫だより」NO.6

「五つの Sola でこの年を」

        ―宗教改革500周年―     宮﨑彌男


 この年の元旦の朝、わが家では、モモちゃんが亡くなりました。17才と8か月共に過ごした愛犬(柴犬雑種メス)でしたので、悲しく、与えまた取り給うた主に、涙ながらに感謝の祈りをささげました。昨年1年間は、さすがによちよち歩きとなり、最後の1ヶ月ばかりは、家内の介護も大変でしたが、不平を言うこともなく天寿を全うして召されました。感謝をもって、一言ご報告まで。

さて、1月は、教会での説教奉仕が、5回の主日の内、15日(長野伝道所)と29日(佐久伝道所)の2回だけでしたので、それだけ本を読む時間を確保することができました。先ず、引き込まれるようにして読んだのは、菅野完著『日本会議をめぐる四つの対話』(2016年、K&Kプレス)。これは、『日本会議の研究』の著者、菅野がさらに白井聡、村上正邦、魚住昭、横山孝平と対談したものを改めて本にしたものです。たまたま近くの本屋で見かけて買ったのですが、読んでみると、日本会議に関する多くの貴重な情報と洞察に充ちた、内容のある対談集でした。改憲運動を推進する勢力として日本会議が注目されていますが、それは、日本会議の力によるというよりも、対抗勢力としての「左翼」とか「リベラル」が弱くなっているからだ、との指摘は対談者に共通のものとしてあるようです。改革派教会が、戦後の日本において有神的世界観人生観と聖書的教会の建設を掲げて伝道しながら、未だに一個の政治勢力たることを得ていないことに強く反省させられます。

 もう1冊の本は、古屋安雄著『私の歩んだキリスト教~一神学者の回想』(2013年、キリスト新聞社)です。古屋先生は、プリンストン神学校でドクターを取られた後、国際基督教大学教会牧師/宗教学教授となられたのですが、私自身も、1963年~67年、学生として色々お世話になったことがありました。その後も、先生のお母様が戦前灘教会の伝道師をされたことがあったということで、神戸に来られた時などお会いしたこともありました。お父様は組合教会の牧師でしたので、「自分は、組合派と長老派の両方の血を受け継いでいるんだ」等と言っておられました。このお父様の信仰について、その朝夕の祈りが、「新しい今日も一日、神の国のために励ませてください」、「今日も一日、神の国のために働くことができて感謝です」等、「神の国」を意識した祈りであったことを、今でも覚えておられるとのこと。古屋先生は、このような「神の国」を意識した伝道/祈りが今日の教会に欠けているのではないかと主張され、この点で、伝道者としての賀川豊彦に学ぶべきと言っておられます。(日本キリスト改革派教会『大会時報』203号所収の拙文「求められる再宗教改革~古屋安雄講演<なぜ一%を超えられないのか>を聞いて」、及び阿部志郎他著『賀川豊彦を知っていますか』(2009年、教文館)所収の古屋講演「伝道者としての賀川豊彦」もご参照ください)。

 このような折に、東京基督教大学の稲垣久和先生が「ICS軽井沢文庫だより」NO.5に対するレスポンスと共に、「市民社会と賀川豊彦の友愛精神」というテーマで行われたシンポジウム(2016年10月29日、於明治学院大学白銀校舎)での御自身の発題講演「労働者は人格である」をお送り下さいました。啓発される所の多い講演ですので、先生の許可を得てこのブログ(「ICS軽井沢文庫」ics41bogspot.jp)に掲載させていただきます。

 この1月に読んだ本の極め付きは、ちょっと意外に思われるかも知れませんが、御国イザヤ著『勝利を得る日本の教会』(2016年、学校法人レムナント学園)でした。この本は、多くの教会に恵贈されたのでしょうか。私は、1月14日、大雪のために、大事を取って、土曜日の内に長野伝道所に行き、一泊したのですが、その事務室にこの本が置いてあったのです。ぱらぱらとめくっておりますと、参考文献の中に、宮﨑彌男訳『ウェストミンスター大教理問答』も挙げられていましたので、興味を惹かれて読む内に、これは、改革派に近い立場で書かれている日本伝道論だということがわかりました。それで、さっそく取り寄せて、聖句を紐解きつつ丁寧に読んでみました。そうしますと、日本伝道について、私が日頃から祈り考えていることと重なることが多く、ブログでもご紹介しようと思い至った次第です。全編に亘って大切なことが書かれていますが、特に「六、サタンとキリスト」、「一〇、キリストと神の国のことと聖霊」、「一四、次世代と信仰継承」は、熟読玩味に値します。

 今日の日本の教会に対する著者のメッセージは、詰まるところ、十字架と復活によりサタンに勝利されたキリストの三職のすべて、中でも、特にキリストの王職を語れ、ということす。そこから、「神の国のこと」(使徒1:3)を教え、学び、実践することが第一義的な重要性を帯びることとなるのです(マタイ6:33)。私たちは、長期に亘る安倍政権の下での一強他弱の政治状況、またそれに与する日本会議等の運動の背後に、憲法を壊し、日本を潰し、教会を無力化しようとするサタンの策略(エフェソ2:2、ヨハネ8:44)を見ざるを得ません。教会はこのような中で、なすすべを知らないかのようです。けれども、真の王であられるキリストはすでにその死と復活によりサタンに勝利しておられます(創世記3:15、ヨハネ19:30、Ⅰヨハネ3:8)。このキリストとその御言葉に従いゆきたい(エフェソ6:1,2)。その時、キリスト御自身が教会を建てられます(マタイ16:18)。

 この年、2017年は、マルチン・ルッターがヴィッテンベルク城教会の壁に「九五か条の提題」を張り出して、宗教改革運動が始まってから500年に当たります。私たちはこの年、宗教改革の五つのSolaを私たちのSolaとして、王なるキリストに従いゆくものとなりたい。すなわち、
 (1)恵みのみ Sola Gratia、
 (2)信仰のみ  Sola Fidei、
 (3)聖書のみ  Sola Scriptura、
 (4)キリストのみ  Solus Christus、
 (5)ただ神の栄光のために  Soli Deo Gloria です。
 アーメン。

<「たより」NO.5へのレスポンス> 東京基督教大学 稲垣久和先生

宮崎弥男先生
明けましておめでとうございます。
先生の活動も軌道に乗ってきたようで何よりです。
ブログの中にN・T・ライトのことが出てきていましたが、昨年から『新約聖書と神の民
』(新教出版社)の翻訳者の山口希夫氏らとともにライトの研究会を始めました。
近年の新約聖書学には目覚ましい発展があり、ライトやボウカムのものにはとても興味
があります。
特にライトは哲学との接点が深くあり、批判的実在論は私の書いてきた本の骨子を作っ
ているのでとても関心を持っています。オックスフォード学派の批判的実在論とアムス
テルダム学派の世界観アプローチとは極めて近いのです(拙著『宗教と公共哲学』東大
出版会、2004年)。
近年の聖書学が明らかにしているイエスの「神の国」は賀川豊彦の「神の国」概念とと
ても近く、むしろ日本のプロテスタント主流派と言われてきたグループの福音理解に問
題があることもわかってきました。カイパー的には共通恩恵論(common grace)の欠如
ということでもあるでしょう。
今年も賀川論からの市民社会形成に励みたいと思っています。これは日本で本来の「神
の国」を作っていく私なりのチャレンジです。
「み国をきたらせたまえ」という日々の祈りととともに。
稲垣久和
添付のものは昨年10月29日の第2回賀川シンポの時のプログラムです。

☆☆稲垣先生、ありがとうございました。先生の方も、御国のためのお働き、着々ですね。『宗教と公共哲学』、改めて読ませていただいています。先生の賀川研究が実り多いものとなりますように。
宮﨑彌男☆☆

(M. ゴヒーン& A. ウォルタース著『キリスト者の世界観―創造の回復』改訂版・付録の翻訳)

こちらの方は、この一月間、余り進まなかったのですが、それでも、原著133~135頁の「宣教における苦難と戦い」を訳し終え、先月までの箇所に付け加えましたので、ブログ「ICS軽井沢文庫」ics41.blogspot.jpの『キリスト者の世界観―創造の回復』付録の項をクリックしてごらん下さい。

※次号の発行&ブログ更新は3月初め頃です。   


   「御父は、わたしたちを闇の力から救い出して、その愛する御言葉の支配下に
    移してくださいました。わたしたちは、この御子によって、贖い、すなわち罪の赦
    しを得ているのです」。                      (コロサイの信徒への手紙 1:13, 14)


【連絡先】
389-0115長野県北佐久郡軽井沢町追分36-23 宮﨑彌男・淳子
TelFax 0267-31-6303(携帯) 080-3608-3769
Eメールmmiyazk41@gmail.com
   ブログ「ICS軽井沢文庫」<ics41.blogspot.jp>


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