「キリストの王権にひれ伏して」
宮﨑彌男
![]() |
| 薄化粧 |
11月21日(火)の早朝、起き出して窓の外を見ると、夜の間に雪が降ったのでしょうか、文庫の屋根は真っ白、辺りの木木も薄化粧をまとっていました。早いなぁ!まだ11月もやっと終盤というのに、もう雪ですか。
今年は、全国的にカメムシが多く、カメムシが多く出る年は大雪となるという地方の言い伝えもあると、ラジオで言っていましたが、実は、この秋、我が家でも、カメムシくん、例年になく賑やかだったのです。この分で行くと、この冬は雪が多くなりそうです。“楽しみ”というか、“うんざり”というか?!皆さんはどうですか。そこで、思い出したのは、ドイツ生まれの讃美 “Shonster Herr Jesu”(「イエスきみはいとうるわし」)です。熊本伝道の折り、県立劇場で聞いたウィーン少年合唱団によるこの歌の素晴らしさが未だに忘れられません。
初雪のあった晩秋にふさわしい歌と思いますので、日本語訳讃美歌(166番)全文を巻頭に掲げます。
イエスきみは いとうるわし、あめつちの主なる
神の御子、人の子を、なににかはたとえん。
春のあさ 露ににおう 花よりうつくし、
秋のよる 空に澄む 月よりさやけし。
夏のゆう 青葉わたる 風よりかぐわし、
冬の日に ふりつもる 雪よりきよけし。
イエスきみは いとうるわし、あめつちの主こそ
わがさかえ、わがかむり、わがよろこびなれ。
11月11日(土)には、トロント近郊のオークヴィル市で、ICS開学50周年の式典・祝賀会が行われました。と言っても、私が出席できたわけではなく、祝文のメールを送っただけなので、残念ながら何も報告できないのですが、私なりに、50周年を記念して、ICSの依って立つ「基本信条」(通常、「教育信条」と呼ばれています)の日本語訳を思い立ち、ここに掲載することにしました。
(そのまえに)
よく、ICSって何ですか、と訊かれますので、今一度、一言だけご紹介しておきます。
ICS(Ins
(ICSの基準および教育信条)
前文
ご自身の栄光のために万物を創造し、人がその法に背いた後には、御子イエス・キリストを遣わすことにおいて完全に示された赦しの愛を宣言された三位一体の神に依り頼むへりくだった思いをもって、私たちは、私たちにふさわしくないご好意への感謝から、私たち自身とすべてのものを献げよとのご命令に服しつつ、ここに示す原理と規定に従って、聖書に導かれた学問推進のための協会を設置する。この目的のため私たちは願い求める。神が恵みにより、今も将来も、私たちの使命遂行のため、心と知性の特別な賜物と、この働きをなすための手段とを有する男女を備え、常に御自身の栄光と神の民、とりわけカナダとアメリカ合衆国の神の民の救いのために、私たちの協会を祝福してくださるように。そして、またそのことによって彼らが両国とその全ての住民にとっての祝福となるように。
目的
この協会の目的は、聖書に導かれた学問の進展に寄与すると思われるすべての活動を行い推進すること、とりわけ、キリスト教主義大学を設置し、運営し、発展させること、また、これらの諸活動により、神の言葉がその全き力をもって生の全体に亘って意味あるものとなるように、男女を整えることにある。
基準
この協会の至高の規準は、私たちがプロテスタント宗教改革の歴史的諸信条の意味において神の言葉と告白する旧新両約聖書である。
教育信条
聖書は、教育にとって非常に重要ないくつかの基本的原理を教えていると信じるがゆえに、私たちは告白する。
生…人間の生は、その全体において宗教である。それ故に、学的研究は唯一の真の神への奉仕か、さもなくば、偶像への奉仕かどちらかである。
聖書…記された神の言葉である聖書は、神と私たち自身と創造の構造を教えることにおいて、完全で活きた神の言葉また力である。この御言葉により、御霊を通して神は私たちを真理へと結びつけ、真理の内に照らし出す。この真理とはキリストである。
キリスト…受肉した神の言葉である聖書のキリストは、私たちの生全体の、また、それ故に、私たちの理論的思惟の全体をも含む、贖い主・更新者である。
実在…神の創造による全実在の本質また核心は、キリストにある神と人との契約による交わりである。
知識…真の知識は真の宗教によって可能となり、神の言葉を通して、聖霊により照明された人間の心の認識活動によって起こる。それ故、私たちの日常的経験および学的な課題を理解する上で、決定的な役割を果たすのは宗教である。
学問…(a)研究者共同体において絶えざる研鑽に励むことは、文化命令に対する神の民の従順で感謝に満ちた応答として本質的な重要性を持つ。研究者の使命は、創造の構造を学的に究明し、それによって共同体全体の日常的経験により有効な指針を提供することである。(b)堕落後の世界に対する神の保持恩寵の故に、神の言葉を生の指針原理として受け入れない者たちも、共通の実在構造に対して多くの価値ある洞察を与えてくれる。にもかかわらず、生における中心的宗教的反定立はなお残っている。それ故に、私たちは、聖書に導かれた思想と他のどのような思想体系との折衷の可能性を認めない。
学問の自由…学問は、人間生活を支配する神の言葉と神の諸法に対する、神与の、完全かつ自発的な服従においてなされなければならない。研究者の責任ある自由は、教会・国家・企業その他のいかなる社会組織によるどのような抑制や支配からも、保護されなければならない。
まとめ…神のご命令に対する信仰の従順を持ってなされるすべての学問は、神の言葉の規範的指針に聴従し、全被造物がその全領域において服している神の法を認識し、すべての学問的な働きに対するキリストの王権にひれ伏す。
(解説)
上記、トロントICSの「基準および教育信条」は、私どもが主にあって設立を願っているJICS(日本キリスト教学術研修所)の基本信条をやがて考える時の参考、むしろモデルとなります。特に、三つの点にご注意ください。
(1) 生の全体が宗教
この教育信条の「生」の項に、「人間の生は、その全体において宗教である」(That human life in its entirety is religion.) と告白されています。これは、ICS設立の背後にあって最も大きな力となったカルヴィン大学の哲学教授、Dr. H. Evan Runner 先生の言葉ですが、神戸改革派神学校の前身、神戸神学校の S. P. フルトン校長の有名な言葉、「私にとっては、神学とは私の宗教である」を思い起こさせます。学問も含めて、人生とは「神の前に」(Coram Deo)に生きること、とする敬虔において共通していますが、この教育信条においては、「まとめ」の項で、「… 全被造物がその全領域において服している神の法を認識し、…」と言っているように、神と被造物の間に定められている創造の「法」を認識することの重要性を告白しているところに特色があります。この創造の法は、「聖書」と「学問」の項では、「創造の構造」と言い替えられています。(A・ウォルタース著、拙訳『キリスト者の世界観―創造の回復』特に、第二章「創造」と第五章「構造性と方向性をわきまえる」 を参照)。
(2) 保持恩寵と反定立
「学問」の項( b)に、「保持恩寵」(preserving grace)と「反定立」(antithesis)のことが出てきます。前者は、「一般恩恵」(common grace)とも呼ばれる聖書的教理(マタイ5:45、使徒14:17等参照)で、神が民族や宗教を越えて、すべての人とその文化に恵みの支配を及ぼしておられる、と告白するものです。この信仰告白に立てば、キリスト教伝来以前の日本の歴史も、聖書啓示の光の下で調べることができます。
他方、「反定立」とは、カイパーの好んで用いた用語で、真の神とその御言葉の規範性を受け入れる者と、そうでない者の間には、生き方の霊的方向性に違いがあるので、折衷なしには共同の営みができない、とするものです。この両者の関係をどのように考えて行くかが私たちの課題です。
(3) キリストの王権にひれふす
「教育信条」は、「…すべての学問的な働きに対するキリストの王権にひれ伏す」という言葉で結ばれています。私たちの生き方の基本姿勢は、神の子キリストにひれ伏すか、神ならぬ偶像にひれ伏すか、いずれかです(「十戒」の第一戒、ウ小教理45-48参照)。学問的な働きにおいて、私たちは、「理性」こそが絶対規準であると思っているかも知れませんが、その前に私たちはキリストの王権にこそひれ伏して、その御言葉である聖書に導かれつつ、神の法(構造)を探索すべきなのです。
来たるべきクリスマス、私たちは王としてお生まれになったキリストにひれ伏す所から、生きる姿勢を正し、キリストによる大いなる希望を持って新年を迎えたいものです。
(注1)20世紀初頭、オランダの首相を務めたアブラハム・カイパーが1880年に設立したアムステルダム自由大学が、キリスト教哲学を基本に据えた総合大学の一つのモデルとなっている。
「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。私たちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです」 (マタイによる福音書2章2節)
[『キリスト者の世界観―創造の回復』(改訂増補版)の出版について]
先日受けた、教文館出版部からの連絡によれば、米国アードマン社から版権の許可が下りたので、これから出版の準備に入り、来年の3月末までには出版したいとのことでした。どうか、お祈りに覚えてください。
[石丸新先生の「ウエストミンスター大教理問答の聖餐論」について]
石丸新先生の研究メモ「ウエストミンスター大教理問答の聖餐論」を先月号から掲載していますが、ワープロ入力が終わりましたので、ほぼ完全な形で読んでいただけます。但し、巻末の【付】礼典用語一覧は手書きの表をデジタル化できませんでしたの、割愛させていただきました。ご了解ください。ラベル「ウエストミンスター大教理問答の聖餐論」を選択して、お読みください。なお、同じく石丸先生の「ウエストミンスター大教理問答における『神を見る』」も入力が終わりましたので、読んでいただくことができます。
[「ICS軽井沢文庫だより」の印刷のために]
「ICS軽井沢文庫」を開き、ラベル「ICS軽井沢文庫だより」第13号を選択します。次にパソコン右上のオプション設定のマーク(縦3つ)をクリック、印刷を選択する。左欄のオプションを両面印刷にし、詳細設定の中の倍率を150、背景のグラフィックもオンにしてください。印刷ボタンを押すと OKです。同様に、他のすべてのラベルも、選択して、印刷することができます。

0 件のコメント:
コメントを投稿