2017年8月31日木曜日

「ICS軽井沢文庫だより」第11号

「時をよく用いて」 

                                                                   宮﨑彌男

きょうは8月31日、今年の夏も、もう終わりかな。何だかさびしいような気がします。教会で食べた、冷えた黄スイカの美味しかったこと。思わず三切れも食べてしまいました。ふと立ち寄った、追分の鯛焼き屋さんで注文した抹茶ソフトの深い味わい。軽井沢では昔は聞けなかったというミンミンゼミのBGMで夏空を眺めた、布施温泉の露天風呂。その他随所に “小さい夏” を見つけて楽しみはしましたが、ギラギラ輝く太陽の下、大海原で泳ぐといった “大きな夏” を楽しむことはありませんでした。このまま秋になると、何だかさびしい気がしないでもありません。もっとも、軽井沢にも、長野県にも、海なんてないのですが…。
涸れた谷に鹿が水を求めるように
(詩編42:1)
それでも、全国的には、やっぱり“異常気象”とも言うべき集中豪雨や台風による被害が毎日のように報道されましたが、この夏は、これと言った災害のなかった軽井沢です。
 引退教師となってここ軽井沢・追分に住むようになったのは、2011年8月のことですから、もうかれこれ6年が経ちました。と言っても、この間、熊本伝道所の定住代理宣教教師として、2年3ヶ月は熊本に住んだので、これを差し引くと、3年9ヶ月の軽井沢生活を経てきたことになります。
 年齢的には、このあいだ(7月27日)の誕生日で、76歳となりました。家内もほぼ同じ年です。あと何年、軽井沢住まいが許されるのだろうか、家内と共に考えてみました。特に、私が教師引退後の中心的使命と考えている「ICS軽井沢文庫」の働きをあと何年継続できるだろうか、ということです。
 聖書に、「人の心には、多くの計らいがある。主の御旨のみが実現する」(箴言19:21) とあります。本当にそのとおりです。それでも、私たちの側で計画を立てることは、いつも許されている。これも確かなことでしょう。もし計画がなければ、「主の御旨」の「実現」も期待し得ないからです。
 それで、私たち、計画を立てました。もし(仮に)あと3年、「ICS軽井沢文庫」のために「働く」ことが許されるならば、(安息日を除いて)あと 3X(365-52)日=939日「働く」こととなります。時間数にすると、(1日8時間「労働」として)939x8時間=7512時間ということになります。7512時間「働く」ことができる。これも、また何という「主の恵み」でしょうか(注1)
 このような、主の恵みによって与えられた「時をよく用いなさい」と、聖書は教えています(エフェソ5:16) 。
 わたしは、これからの3年間、939日、7512時間を「よく用いて」、「ICS軽井沢文庫」を育成し、多くの人々に役立つものとしたいのです。そして、特に願っておりますことは、この働きを受け継ぎ、担ってくださる若い方たちを得ることです。そのために祈り、励んで参ります。
聖書に導かれて学問する
(文庫内部)
ちなみに、「ICS軽井沢文庫」は、「ICS軽井沢文庫だより」1号に記しましたように、カナダ・トロント留学時代を中心に集めた、有神的世界観人生観確立のための文献や講義ノートを収納・公開するためのささやかな文庫」です。さらに、「なぜ『公開』かと言えば、私どもがここ軽井沢・追分にいる間、ぜひ皆様方にお訪ねいただいて、書物を見開き、テープを聴き、教会の現在と将来、日本の現在と将来について語り合いたいからです。軽井沢は、不思議と話の弾む所です!。新幹線で東京から1時間とちょっと、しなの鉄道・信濃追分駅から車10分の所です。わたしの夢は、この文庫が発展して、教会の内外の方々(特に、若い世代の方々)が聖書的改革主義的世界観に立って、今日の教会と社会(さらには、文化・芸術・学問etc.)に対する鋭い切り込み術を学ぶ JICSJapan Institute for Christian Studies 日本キリスト教学術研修所)となることです。このために、ぜひお祈りいただきたいと存じます」。

(注1)私は、目標時点から逆算して、時間単位でライフプランを立ててみる手法を、楠木新著『定年後―50歳からの生き方、終わり方―』(中公新書2431、2017年、特に第4章と第7章)から学びました。この本では、定年退職後の1日平均「労働」時間(自分の自由になる時間)が、60~75歳の場合、11時間;75歳を越えると、介助を受ける立場にもなるということで、半分の 5.5時間、とされている。私どもの場合は、ここ 2,3年の実績を考え、1日 8時間で算定した。介助/被介助のことも、75歳を過ぎるとだんだんと現実的な課題となってくるが、これは、「主の御旨」に属することなので、特に「計画」の中には入れていない。ただ、健康の維持については、いろいろと留意しているつもりである(毎日 30~40分散歩と、毎朝 5:37am~の NHK第一ラジオ「健康ライフ」の聴取等々)。


(JCA出席の報告)


  7月17日(月・祝)神戸・六甲の改革派神港教会で、日本カルヴィニスト協会(JCA)の講演会・総会が行われ、私も出席しました。「近代日本におけるカトリック教会と天皇制ーカルヴァン主義の視点からー」(松谷好明氏)と「改革派芸術論の一考察ーよりよき創作のためにー」(山村貴司氏)の二つの講演がなされました。いずれも、興味深いテーマでしたが、終わりに全体的な総括をされた袴田 JCA 会長としては、両テーマの統合には苦心されたようです。
 私としては、日本国憲法下で初めての天皇「生前退位」を前にして、日本のカルヴィニストとして天皇制をどのように捉え、改革すべきなのか、少々勉強もして行ったのですが(吉馴明子他編『現人神から大衆天皇制へ』等)、こういった今日的な問題について余り議論が深まらなかったことは、残念に思いました。天皇制と改革派芸術論を一度に取り上げることに、やはり無理があったのではないでしょうか。
 昼食時に、「ICS軽井沢文庫」の紹介をし、希望者に「ICS軽井沢文庫だより] 9号、10号を配布しました。当日の報告要旨:「一般啓示」において語られる神の御言葉を聞くことが、これまでにも増して重要な時代を迎えつつある。しかしながら、「一般啓示」という呼び方では、神の創造啓示(詩編19:2~7など)の豊かな多様性が輝き出ないのではないか。カイパー流の「領域主権哲学」の研鑽/普及が(特に若い方たちのために)求められている。このために「ICS軽井沢文庫」を立ち上げた旨、アピールをしました。1、2 積極的なレスポンスはありました。


(『キリスト者の世界観ー創造の回復』(改訂版)の翻訳出版について)


 来年春頃には、教文館より出版できそうです。JCAから帰ってすぐの翌週、銀座の教文館出版部を訪ね、担当の方(高木誠一氏)より出版の可能性について聞きました。主の導きを覚えたのですが、高木氏は学生時代に『キリスト者の世界観ー創造の回復』(初版)を読み、キリスト者としての生き方について、特に世界観・人生観について、大いに教えられるところがあった、と話してくださったのです。それで、教文館からこの本の改訂/増補版を出版することについて、喜んでお引き受けくださることとなりました。それで、今、版権のことで、米国のアードマン社と交渉してくださっています。これが OK ならば、ほぼ話は決まります。どうか、出版に至るまでお祈りくださいますように。


(熊本伝道所の修養会

 日本キリスト改革派熊本教会(伝道所)は、私が 1978~1996年、開拓宣教教師として、また2012~2014年、代理宣教教師として、計20年3ヶ月奉仕した教会ですが、来年1月で40周年を迎えることとなりました。それで、先日、8月26日~27日、熊本県青年会館において、「熊本教会のこれまでとこれからを考える~40周年からの私たちは~」というテーマの下、修養会を持ちました。この修養会に私は招かれ、第1日目に、「熊本伝道所の40年を振り返って」と題する講演を行いました。大人・子ども合わせて24名が参加、主の恵みを沢山いただいて、盛会の内に修養会を終えることができました。ご準備くださった西堀元牧師と伝道所委員の兄姉たち感謝します。私の講演要旨と聖書の箇所は次のとおりです。

  序 私の自己紹介。
  Ⅰ.熊本伝道の出発点/原点(詩編24編に学ぶ)。
  Ⅱ.教会形成の課題(使徒言行録20:32に学ぶ)。
  Ⅲ.熊本大地震と執事的愛の奉仕(ルカ10:25~37に学ぶ)。
  結び  「主を愛し、教会を愛しなさい」、愛は神の賜物です(Ⅰコリント12:31)。
 
 27日の主の日の礼拝では、子ども礼拝に続いて、西堀元牧師が「命を選びなさい」(申命記28:69~29:28)と題する説教をされました。(日本キリスト改革派熊本教会のHPで聴くことができます)。
 私は、この修養会の後、翌日まで熊本に滞在して、病気等のため出席できなかった兄弟姉妹方を訪問した後、軽井沢に戻ってきました。特に、月曜日には、南阿蘇村に一姉妹を訪ねましたが、昨年の大地震で崩れ落ちた阿蘇大橋に替わる仮設の橋が少し下流にようやく開通したところで、完全な復旧にはまだまだ時間がかかるようでした。

(「ICS軽井沢文庫だより」の印刷のために


「ICS軽井沢文庫」を開き、ラベル「ICS軽井沢文庫だより」第11号を選択します。次にパソコン右上のオプション設定のマーク(縦3つ)をクリック、印刷を選択する。左欄のオプションを両面印刷にし、詳細設定の中の倍率を150背景のグラフィックもオンにしてください。印刷ボタンを押すと OKです。


※この度の「ICS軽井沢文庫だより」NO.11 は、8月初めに発行(公開)予定でした が、諸般の事情により、遅くなったことをお詫びします。次号は10月初め頃の予定です。



  「愚かな者としてではなく、賢い者として、細かく気を配って歩みなさい。
   時をよく用いなさい。今は悪い時代なのです。
   だから、無分別な者とならず、主の御心が何であるかを悟りなさい」。
                (エフェソの信徒への手紙 5:15~17)




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389-0115長野県北佐久郡軽井沢町追分36-23 宮﨑彌男・淳子

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